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足がつらないようにするには…

大河原森本医院の森本崇です。

私の専門は消化器、特に胃腸ですが、外来は基本的に「なんでも外来」です。患者さんとの会話の中でよく出てくる悩みの一つに「足がつる」というものがあります。

この「足がつる」という事象は全身どこの部位にも起こるのですが、ふくらはぎがつることを特に医学用語として「こむら返り」といいます。

典型的な症状としては、寝ていて少し体勢を変えようとしたり伸びをした時に、ピキーンとふくらはぎに鋭い痛みが発生することが多いと思います。

では、なぜ足はつるのでしょうか。そして、どうすれば予防できるのでしょうか。

 

  • ストレッチ不足:「つる」という事象は筋肉の異常収縮です。通常、筋肉の収縮・弛緩は脳が指令を出しているのですが、普段動かしていない筋肉を急に動かそうとすると、収縮した筋肉がそのまま固まってしまい弛緩しなくなってしまいます。そのため、普段からしっかりストレッチ、すなわち全身の筋肉をまんべんなく動かしておくことが必要になります。なぜ、「運動」と言わず「ストレッチ」というかというと、ただ歩くだけでは体のつりは防げないからです。人間は二足歩行の動物です。そのため、歩くという動作は人間が最も得意として生まれてきてからずっと自然におこなってきた動作なので、自然と最小限の筋肉を使って楽に歩くことに慣れていってしまうのです。だんだん背中が丸まってしまうのもその一つですね。背筋という筋肉を使わないでも歩けるように楽をしているのです。そのため、ただ歩くだけでは使う筋肉が限られていて使われない筋肉はそのままになってしまいます。その結果、横になった状態で体を動かすという人間にとって不自然な行動をとった際に普段使われない筋肉が異常収縮を起こしてつってしまうのです。ちなみに私がそれを実感したのは、上着を着ようとして腕を後ろに回した時に背中がつるようになった時です。さすがに、そんな日常的な何でもない動作でつるようになったため、風呂上がりにしっかりストレッチをするようにしたところつらなくなりました。日常生活を普通に送っていては使う必要のない筋肉を意識的に刺激してあげるのが大切です。
  • 体の冷え:筋肉というのは当然ですが一つ一つの細胞が集まってできています。その細胞に栄養を送っているのが血液でありその通り道が血管です。体が冷えてくると血管は体温を維持しようと血管を締め付けて熱の発散を抑えようとします。その結果、筋肉への血流は低下して筋肉は栄養不足、酸素不足になりトラブルを起こしやすくなるのです。冬の寒い時期はもちろん、夏場でもハーフパンツで眠る場合や冷房・扇風機が体に直接あたる場合は要注意です。近年日本の夏は猛暑となるのが定番ではありますが、足がつりやすい方は、寝る時に暑くても長ズボンがお勧めです。日中外に出かけて直射日光を浴びることで汗が出やすい体を作っておけば、夜暑くてもしっかり汗が出てくるため適度に体は熱を発散して冷えてくれます。体を薄着や冷房・扇風機で冷やすことも大事ですが汗をかくことで冷やしていくのが理想ではないでしょうか。
  • 脱水:体内の水分が不足してくると、当然ナトリウムやカリウムといった電解質、ミネラルもバランスを失っていきます。特に低カリウム血症は筋肉の異常収縮を引き起こしやすいため足がつる原因となります。夏場の炎天下や寝ている時というのは汗をかきやすい状況にあるためどうしても足がつりやすくなります。ミネラルを補充していくために基本はやはり食事です。「夏バテ」という言葉があるように、暑さに負けると食欲も低下してきて麺類などさっぱりとした食べやすいものを選びがちです。そんな時こそ、味付けをしっかりした(熱い、辛い、酸っぱいなど)、刺激の強い食べ物を摂取して強い体を作っていく必要があります。高血圧で減塩を心がけている場合でも、夏は暑いため血圧も上がりにくく汗で塩分も喪失しがちになるため多少濃い味付けになっても良いと思います。とにかく、しっかり「食べる」ことを優先して体の代謝を刺激していくことが重要なのです。

今回は、足がつる原因と対策について3つのポイントをあげさせていただきました。病気というよりも肉体の衰えを示す徴候という側面が強いと思いますので、ちょっとした生活習慣の工夫で予防できればいいですね。