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インフルエンザ予防接種、接種しますか?

大河原森本医院の森本崇です。
今日は水曜日。休診日ですが順天堂練馬病院で内視鏡検査をしたり、こうやって普段なかなかできない事務仕事をしたり。開業医の仕事は(中小企業はみなそうでしょうが)、診療以外の仕事のほうが圧倒的に多いです。なんでもやってくれるドラえもんのような事務長さんがいると助かるのですが。

さて、今回はインフルエンザ予防接種についてです。なぜかというと、やはり問い合わせの電話や外来での質問がずば抜けて多いからです。

皆さんから多くいただく質問をまとめつつ整理してみました。

1) コロナも流行っているし今年は注射したほうがいいのか?
これは最も多くいただく質問ですが、皆さん全てに当てはまる答えがありません。

①例年予防接種をうけていないが全くかかったことがない方
これは正直、生活パターンが変わらないのであれば必ずしもうつ必要がないと思われます。インフルエンザは飛沫感染ですから、感染予防がしっかりなされている、かつ感染しやすい場所に近づかなければ感染する可能性はかなり低くなります。今までなにも起こらなかったのに、「治療」ではなくあくまで「予防」で注射をうったばかりに副反応で大変な目にあった、ということでは後悔してもしきれません。ただ、インフルエンザワクチンで生命にかかわる副作用が出現する確率はごくごくわずかであることも知っておく必要があります。
また、ご高齢の方にお見受けするのですが、お孫さんができて近所に生活するようになったという方は要注意です。自分が変わらなくても、子供は遠慮なく風邪を引きます。小さなご家族からうつって何十年ぶりに感染したというケースには毎年頻回に遭遇します。

②基礎疾患を持っている方
この場合は接種されることを基本的にはお勧めします。
基礎疾患とは、、
・慢性呼吸器疾患(肺気腫、気管支喘息など)
・慢性心疾患(高血圧、弁膜症、不整脈、狭心症など)
・糖尿病、甲状腺などの内分泌・代謝性疾患
・腎機能低下
・ステロイド内服などによる免疫機能低下
が注意すべき代表的なものとして取り上げられていますが、ようするに「今は症状もなく落ち着いているが、不安定になると困る病気」全てをいいます。だから、単なる(なんて言っては怒られますが)高血圧も入ります。
こういった方がどうなるかというと、、
(高血圧の方)
・インフルエンザにかかる→高熱で脱水状態となる→降圧薬が飲めなくなる→血圧が上がる→心不全になる
だったり、
(動脈硬化の強い方)
・インフルエンザにかかる→高熱で脱水状態になる→元々狭かった脳の血管が詰まってしまい脳梗塞になる
というケースが考えられます。
持病のある方と健康な方の違いは「体に貯金があるかどうか」です。普段は何も変わらない、だけどいざという時に軽症で済むか重症化するかが変わってきてしまいます。

③毎年うっているけど毎年のようにかかってしまう方
この場合も例年通り接種をお勧めします。毎年のようにかかってしまう方というのは、免疫力が問題ないと仮定するならば、感染予防が不十分か(手洗い・マスクだけでなく、睡眠不足や生活リズムの不規則さも関係します)、感染源に接触する機会が多いと考えられます。我々のような内科開業医もズバリこのパターンに入るのですが、これはもう自分次第です。仕事上、感染源となる不特定多数との接触は避けられないという方は多いと思うので、忙しい中でもon offをしっかりつけて生活することで少しでも感染のリスクを抑えるしかありません。昔から言いますが「病は気から」ですね。もちろん、予防接種が有効な方法の一つであることは間違いありません。

あえて書きませんでしたが、ご妊娠されている女性はもちろん必須ですし、小児も脳症など重症化のリスクが大人より高いため生後6か月以上の方は同様に接種をお勧めいたします。
卵アレルギーはダメとされてきましたが、ワクチンに含まれる成分としては微量であるため、必ずしも接種できないというわけではありません。アレルギーの程度、その個人個人の接種するメリット、デメリットを主治医と相談する必要があります。

2) 実際、ワクチンはどのくらいインフルエンザにかかるのを予防できるのか?
いくつかの報告がでていて
・発症を約50~60%減少させる
・重症化を防ぎ成人の入院を約70%減少させる
・高齢者の死亡リスクを約80%減少させる
・6歳未満の小児では、発熱症状出現を20~60%予防できる
といったところが文献からの報告です。
ようは、「発症を防げて重症化も防げるんだけど、せいぜい50%くらい」という感じだと思います。そこに4000円かけるのは、果たして高いのか安いのか。
ちなみに、私と私の家族は毎年接種しています。職業的に感染リスクが高いのもありますが、一番は感染することによる色々なロスが困るからです。貴重な休日のんびり過ごすこともできませんからね。

帯状疱疹のワクチン接種でも書きましたが、やはり予防接種のポイントは「接種することでデメリットになることがどれだけ少ないか」だと思います。繰り返しになりますが、健康な状態なのに注射したことでわざわざ不健康になるのは避けたいですからね。

皆さんも流行状況はもちろん、ご自身とご家族の健康状態・感染リスクを考慮して判断していただければと思います。